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Donner「Dobuds ONE」レビュー

ワイヤレスイヤホンを買いました。
有線派だった私が、何気なしに超安価(2,000円以下)な中華製ワイヤレスイヤホンを買ってしまい、その利便性の良さに今更ながら感銘を受けたのをキッカケに本機を買うに至りました。
大袈裟に言う必要もないくらい今回紹介するイヤホンも安価なのだ。そして中国メーカー製です。いつかは高級機に手を出す日が来るかもしれないけど、現状はこの5,000~6,000円で手に入る「Donner Dobuds ONE」で十分だと思えています。この価格にしてアクティブノイズキャンセリング(以下ANC)搭載、ケース含めて32時間再生、音響機器メーカーの音造り、というグッとくるポイントが詰まっています。

それでは見ていこう。

Donnerとは

メーカーは「Donner」という中国の音響機器メーカーです。
2012年に設立された比較的若い(?)メーカーで、楽器演奏している人からしたらお馴染みかもしれませんね。
4色展開で今回「黒」を選びました。他には「ネイビーブルー」 「スノーホワイト」 「ミントグリーン」があります。

内容物とか仕様とか

箱の中身は以下の通り。

  • Donner Dobuds ONE
  • イヤーチップ(XS/S/M/L/XL)※Mは本体装着済
  • Type-Cケーブル
  • ユーザーマニュアル

基本仕様は以下の通り。

モデルDobuds ONE
タイプカナル型
BluetoothチップBT8922E2
BluetoothバージョンBluetooth 5.2
対応プロファイルA2DP / AVRCP / HSP / HFP
対応コーデックSBC / mSBC / AAC
ペアリング名Donner Dobuds ONE
通信可能距離≥10M(障害物なし)
操作方法タッチ式
充電ポートType-C
使用時間イヤホン:約8H(ANC OFF)・約6.5H(ANC ON)
充電ケース含め:約32H(ANC OFF)・約26H(ANC ON)
充電時間1.5H
バッテリー容量イヤホン:55mAH
充電ケース:520mAH
防水性能IPX4
寸法イヤホン:約2.3×3.1×2.2cm
充電ケース:約6.3×4.4×2.6cm
質量イヤホン:約4.5g
充電ケース:約37.5g

外観をざっくり見ていく

まずケースは定番の形状。縦に長いほうじゃなく平べったいほう。シンプルにメーカーロゴのみ型押しされている。前面にはケースのバッテリー残量を示す3連インジケーター。イヤホンへの充電時には左右が点灯する。背面に充電用ポートがあって、ちゃんとType-Cです。ちなみに付属のケーブルはとても短い。

開いたところ、中央にある丸いボタンはBluetoothペアリングのリセット用。あまり押す機会のないボタンではあるが、わかりやすいのはいい。

当然ながらケースに入れる際はマグネットで吸われる。
考えられて造られていないワイヤレスイヤホンだと、耳から外してケースにハメる時に摘んだ指から持ち替える必要のあるものもある。外したままの向きで収まるように収納部が造られていないからだ。僕が本機の前に買った激安製品がそうで何気に不便であった。持ち替える時にタッチセンサー部分に触れざる得なくて再生機側の音量が変わったりしていてストレスだった。その点本機は摘んだままスムースに戻せるので誤操作する事はない。

造形美的なものは高級機と比べると凡庸だ。大きく3ピース構成となっているので継ぎ目が目立つ。実際にはこれほど拡大して見る機会はないわけだが。
本機には4つの外音取り込み用の穴が空いている。その内2つはノイズキャンセリング用との事だ。キャンセリング能力としては「-30dB」の低減らしいが、その効果については後で述べる。「外音取り込み機能」もあるので、併せて後ほど語る。

出典:Amazon商品ページより

内部には12mmという大きめの「ダイナミックドライバー」と「バランスドアーマチュア」が入っているそうで、いわゆる「ハイブリッドタイプ」という事になる。低域に強いダイナミック型と中高音域に強いバランスドアーマチュア型を組み合わせたカタチだ。
音的には美味しい所取りといった方式だが、部品が多い事から内部スペースを専有し、筐体自体の小型化が難しくなる。
それもあって本機はどこかボテッと丸く膨らんだシェイプとなっているようだ。

イヤーピースは装着済のMサイズを含め5種類と豊富だ。Sサイズに交換してみようかと思ったが、イヤホンから取り外すのが非常に硬い・・・というか外すには千切るしかないように感じた。なので、とりあえずデフォルトのMサイズでも装着に問題がなかったのでそのままにしておいた。不意に外れたりはまず無いだろうという勢いでハマっていたので、ある意味安心か。

波形のようなマークの部分がタッチセンサーとなっている。ステムで操作するタイプだと誤作動がありえるので、こちらのほうがストレスは無いかもしれない。タッチにより再生停止や曲送りといった操作が行える。スマートフォン用の専用アプリを用いれば、操作のカスタムも可能だ。タッチした際には音による反応があり、タッチ感度も適切でかなり出来が良いと感じた部分。

と、まぁアウトラインとしてはこんな感じだ。ざっくり所感としては、カタログスペックは興味を惹くが、イヤホン自体の造形は特筆すべきものがない、価格なりといったところ。ガワの高級感を求めるなら、もっと高額なイヤホンをお求めになりましょう。

聴いてみる。

手持ちの「DAP」と「iPhone X」で聴いてみるわけだが、専用アプリはスマートフォンでしか使えない。
専用アプリ「Donner Connect」には以下の機能がある。

  • 左右独立したバッテリー残量%表示
  • 標準・ANC・外音取り込みのモード切り替え
  • ANC強度の調整
  • イコライザー(プリセット・カスタム)
  • タッチセンサーカスタマイズ

よく出来たアプリだとは思う。シンプルなUIだし。しかしイコライザーには疑問がある。
DAPでは関係ないのでiPhoneの場合に限って書くが、iOS標準ミュージックアプリで再生、さらにPC側iTunesでイコライザーを使用していた楽曲をiPhoneに転送していた場合、という限定的な条件では致命的だった。
僕はiTunesのイコライザーにて所謂「Perfect」を設定しているのだが、この状態で標準ミュージックアプリからの再生はぶっ壊れたバランスでしか鳴らなかった。そしてアプリのイコライザーのプリセットのどれを選んでも、聴くに耐えない音であった。さらにはイコライザーのカスタムをどう調整しても特定の楽曲では顕著な音割れを起こしてしまっていた。それにしても、アプリのプリセットはどれも音量小さいのに、カスタムを選んだとたん音量爆上がりするのは何なのだろうか。。まぁ、そこからイコライザーカーブを下げて調整するのが正当なやり方なのだろうけど。とりあえずの回避策としてはiOS用アプリの「Onkyo HF Player」にて好みにイコライザーカーブを調整してまずまず納得いく結果となった。要するに標準ミュージックアプリはiTunesのイコライザーを引き継ぐが故に補正効果が衝突してしまっていたようだ。ついでに専用アプリのイコライザーをカスタムにして全域中間値に設定するとより良くなった。
そもそもだが、このアプリのイコライザー設定がどこまで作用しているのかが不明で気持ち悪い。設定したあとはアプリを立ち下げていようが調整した効果は継続している。

低音が強めで中高音域はそこそこ

とりあえず10時間しばいてから、しっかりと音に意識して聴いてみた。
低音の音場の広がりが豊か且つ締まっていて、ロックやダンスミュージック系は得意な感じだ。中高音域に少し硬さがあるように感じなくもない。あまりキラキラした音は得意じゃない、というかキラキラと聴かせてくれないかも。

低域は持ち上げる必要がなく、ヘタすると音源によっては過剰となるだろう。これは古いスカスカ低音な音源には有り難いバランスなのだが。この盤ではどうにも主役と言えるギターが控えめに聴こえる。しかしながら、こちらを立てればあちらが立たずなので、イコライザー調整に妥協はつきもの。

すっごくベースが太いです。ブイブイ鳴ってくれて楽曲全体に音の厚みをもたらしてくれるから数十年経った楽曲達も今の音楽との差を違和感なく楽しめます。

ノイズキャンセリングについて

アプリからは通勤・屋内・屋外・マニュアルでの調整などの種類を選べる。効きの強度の違いだけだろうとは思うけど、その辺は確かじゃない。そもそもだが、カナル型は耳に差し込んだ時点である程度の遮音が成される。その耳栓効果をくぐり抜けて入ってくる音をどこまで消せるかという話しなわけだが。
僕はノイズキャンセリング初体験なので、相対的に他製品と比べたりってことが今現在は出来ないことを承知しておいてほしい。
屋外で歩道を歩いているときに、車道を走る車のロードノイズは、耳に装着しただけで音楽を再生していない状態では俄然入ってくる。ANC(最強)をオンにすると、かなり小さくしてはくれるが無音にはならない。未装着を「10」とすると装着で「8」、ANCで「3」か「2」まで下がる。ゲームセンターのような騒がしい環境では、カナル型といえど装着しただけではお構いなしに耳に飛び込んでくる。ANCオンで明らかにそういったノイズは小さくなるが、あくまでも小さくなるだけなので、目を閉じていても騒がしい場所にいるというのがハッキリとわかるくらいのキャンセル具合である。未装着を「10」として、装着段階は「8」、ANCオンで「5」くらいかな。
こうなってくると、定評のある「SONY」や「BOSE」のノイズキャンセリングを試してみたくなる。けど高級機買うなら別のメーカーになるだろうな。

外音取り込みについて

キャンセリングとは逆に「取り込み」はどうであろうか?
コンビニでの会計時などで試したところ、店員の声に関して芳しい効果がなく残念だった。
取り込みモードにすると、明らかに周囲の音が入ってくるのは確か。しかし、音楽を停止した状態でも店員の声は集中していないと聞き取れない。声の小さい店員だと聞こえない。声以外の店内の音楽や自動ドアの音、何かしらの他の音が大きくなりすぎて埋もれてしまうのだ。
歩道を歩いているようなシーンでは、安全のために取り込みモードにしておくのが良いだろう。

まとめ

高級機を使用した経験がないのでコストパフォーマンスを語るのは説得力がないのだが、物価高な昨今、この価格でこのクオリティであればお買い得感は高い。安物のほうは充電が上手くいかなかったりといった基本的な部分で不安定さがあるのだが、「Dobuds ONE」はBluetooth接続も充電も今のところ問題がない。あ、あとバッテリーは公称通り非常に持ちがいい。デイリーユースする人にとって不足はないだろう。

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