スマートフォンを「 Nothing Phone (2) 」に変更してから、手に入れたいと思っていたワイヤレスイヤホン「 Nothing Ear 」をセールで買いました。「 Nothing 」とのお付き合いは、サブブランド「 CMF 」のスマートウォッチ「 Watch Pro 」からとなります。どのプロダクトも「見た目」は良いのですが、「中身」の出来は様々ですねぇ、正直。さて、今回のイヤホンはどうでしょうか。
名前がわかりづらいんだよね
のっけから文句を言って申し訳ないが、 Nothing はイヤホン出しすぎなうえにプロダクト名が似過ぎで買う時に迷う。
サブブランド「 CMF by Nothing 」のイヤホンを除いたとしても、Ear は Nothing として4つめのワイヤレスイヤホンとなります。命名規則をミニマルにしたいが故に却って分かりづらく、併売されていることも相まり間違えて旧モデルを買ってしまった人もいるんじゃないかと思います。
リリース年 | モデル名 | 国内価格 |
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2021年 | Nothing Ear(1) | 12,650円 |
2022年 | Ear (stick) | 16,800円 |
2023年 | Nothing Ear(2) | 22,800円 |
2024年 | Nothing Ear/Ear(a) | 22,800円/14,800円 |
Nothing はサブブランドふくめると新製品のリリース頻度が過密な印象がありますね。適度なタイミングでディスコンするなど、ラインアップの整理をしていかないと、こういったネーミングでは却って煩雑化している気がします。
価格に関して初代 Ear(1) こそ手を出しやすいものでしたが、Ear(2) からは音楽視聴を趣味とする人、またはデザインが刺さった人しか手を出さない領域でしょう。公式 EC やモール等の直営店舗では、そこそこセールを開催するようなので、気になる人は情報取りしたほうがお得です。
内容物とケース
イヤーピースは3種類付属。充電ポートは「 USB Type-C 」で、ケースのバッテリー容量は 500 mAh。ワイヤレス充電にも対応しています。実はケースの品質はさほど期待していなかったんだけど、思ったより重量を感じる肉厚アクリルで所有欲が満たされました。もともとスレキズなんか上等だよってつもりで使おうと思ってたけど、急遽カバーまで買っちゃいました。カバーしちゃうと透明であることが見えなくなるので魅力を削いじゃうんだけどね。でも大事に使いたいから。
基本的なスペック
サイズ | イヤホン:29.4mm x 21.7mm x 24.1mm ケース:55.5mm x 55.5mm x 22mm |
重さ | イヤホン:4.62 g ケース:51.9 g |
防塵・防水性能 | イヤホン:IP54 ケース:IP55 |
バッテリー | イヤホン:46 mAh ケース:500 mAh |
ワイヤレス充電 | 対応 2.5 Wまで |
コーデック | AAC & SBC/LDAC/LHDC5.0 |
メーカーによるアピールポイントは以下になります。
鮮明な音声を究めた11 mm セラミックドライバー
https://jp.nothing.tech/products/ear
24 ビット ハイレゾオーディオ LDAC & LHDC 対応
最大 45 dB のアクティブノイズキャンセリング
8 バンド アドバンストイコライザ搭載
パーソナルサウンドプロファイル
ケース込みで最大 40.5時間再生可能
【外観】Nothing Ear
かなり使用したあとなので、指紋や汚れが付着していて見苦しいのはスミマセン。
初代から継続しているステムがスケルトンで部分的に中身が見えるデザインです。これがどうにもクールでやられちゃってます。
イヤーピースは特段変わったものではないですね。私は耳の中が乾燥しているのか、こういったサラサラした質感のヤツはフィットせずに外れがち。
イヤーピースを外した状態。根本寸法は 5.7 ✕ 4.5 mmくらいでした。一般的に売られているイヤーピースなら交換可能でしょう。問題はケースに収まるかどうかです。私は以下のものに交換してみました。M サイズは普通に収まりました。
まずはセットアップ
スマートフォンとのペアリングを済ませ、音出しする前に「パーソナライズされたサウンド」から、使用者の聴覚に合わせた音質へとキャリブレーションしていきます。
ホワイトノイズが鳴っているなか、フェードイン/アウトするビープ音が聞こえているあいだだけ画面のボタンを押す。これを周波数帯ごとに行っていくのですが、おそらく可聴域帯ごとの音の出方をチューニングしてくれるんだと思われる。私の場合、最初の音出しからこの機能を実施済なので、前後でどう変化したかはわかりません。ただ、この工程自体が聴覚検査をしているみたいで楽しかった。
『デバイスを探す』対応について
Android と接続しての話しですが、2024 年 8 月下旬ようやくアプリ『デバイスを探す』が正常に機能するようになったようです。(ウェブ版『デバイスを探す』への対応もされています)
と言うのも、以下のスマートタグの記事でも書きましたが、Google が「デバイスを探す」の改修を行っていたため、世界中で機能障害を起こしていました。
『デバイスを探す』に登録するには、『 Fast Pair 』という規格での接続が必須です。それにより、Google アカウントとの紐づけが行われ、『デバイスを探す』にも反映されます。
やり方はスマートフォンの傍で、イヤホンが入った状態のケースの蓋を開けるだけです。それで、スマートフォン画面の下部から接続を促すポップアップが出るので、接続ボタンを押すだけ。ただし、そのポップアップが出るまでの時間にムラがあるので、少し戸惑うところですね。数秒から数十秒くらい幅があります。
私の場合、2024 年 7 月にこのイヤホン Ear を購入し、Fast Pair で接続したところ、『デバイスを探す』画面に表示されていました。ただし、実際の位置情報は見れない状態でした。「何でかなー?」と思って調べると、『デバイスを探す』の仕組み自体の改修によるものだとわかりました。
そして、Ear のファームウェアアップデートのタイミングだったと思うのですが、『デバイスを探す』の画面に Ear が表示されなくなっていました。公式コミュニティで質問しても回答を得られず、悶々とした日々を送っていたのです。毎日一回は『デバイスを探す』アプリを立ち上げて見ていましたが、変化なしで半ば諦めていました。しかし突然、上図のように急に表示され、位置情報まで得られるようになりました。海外のフォーラムでのスマートタグの情報など見ていても、各地で位置情報が得られるようになってきているみたいです。ただし、あくまでも Bluetooth 接続が切れた時点の位置情報をずっと示すのみです。なので、どこかで使用を終えてイヤホンをケースに戻したあと移動した先でケースごと置き忘れたり、気付かずに落っことしたらアウトです。ケースを閉じた状態でも Bluetooth の信号を発するような仕様変更でもない限り、『デバイスを探す』の位置追従の機能の恩恵にはあずかれないのです。
かなり、話しが逸れました…。
音質について
いつも聴いているお気に入りの楽曲を再生していきましたが、とにかく印象としては音質が良い。良すぎる。バランスがいい。中高音域がしっかりと鳴っていて、低域もちゃんと量感がある。そして音の分離がめっちゃしっかりしている。音の粒立ちを感じるし、語彙が無くて申し訳ないが、とにかく音が良い。
ちょっとテスト再生的に聴き始めたんだけど、気付けば 1 時間以上聴いていた。これまでどれだけ好みのイヤホンでも、こう自然と聴き続けるなんて事はありえなかった。とにかく音が自然で聞き疲れしないんですよね。これがパーソナライズした結果なのか、そもそも Ear のポテンシャルによるものなのかはわからないが、最高の一言である。
以前レビューした実売 5,000 円クラスのワイヤレスイヤホンと比べるのも何なのだが、明らかに上位と感じる音を鳴らしている。「 Dobuds ONE 」も価格からすれば十分な音質ではあったが、高音の存在感が薄く、全体的な解像感がそこまで高くないことが今回わかった。
イコライザーについて
イコライザーは「バランス」「低音を強調」「高音を強調」「音声」からの選択か、「カスタム」を選び「高」「中」「低」音域をそれぞれ強めたり弱めたりする簡易モードがあります。また、「詳細設定」モードでは、上図のように周波数帯域ごとに強弱やQファクターまで調整が行えます。私は簡易モードのほうで十分に好みの音に近づけられました。
ノイズキャンセリングについて
ANC については、「 OFF 」 「 弱 」 「 中 」 「 強 」 「 アダプティブ 」から選択する。
アダプティブは周囲の音によって自動的に「 弱 」 「 中 」 「 強 」のいづれかに切り替わるらしい。ノイズ除去効果の体感については、じっくり試せていないけど、はっきり言って Dobuds ONE より効きが弱い。Dobuds ONE は公称「 -30 dB 」のキャンセリングで、Ear は「 -45 dB 」と強力な筈なのだが…。
そう言えば気になった点がありました。屋外で「ear」で音楽を聴きながら歩いていると、やけに風切り音が入ってくるんですよね。ちょっと「外音取り込み」モードであったか覚えていないが、これまでのイヤホンで感じた事のない事象だったのが印象に残っている。
と思っていた矢先にファームウェア( 1.0.1.52 )が降ってきて、風切り音に関しては概ね解消されました。外音取り込みモードでは、まだ少しあります。
外音取り込みに関して、Dobuds ONE と比べ、人の声などは聞き取りやすい気がしました。音を出していない状態なら、違和感なく会話出来るレベルです。
通話品質について
通話も試してみましたが、ノイズはなく相手の息づかいも明瞭でした。こちらの声も違和感なく伝わっているとのことでした。
Nothing Phone との親和性が高い
アプリはスマートフォンであれば機種を問わず使用できます。イヤホンのステムをつまんでコントロールできる、そのアクションを好みに設定可能です。実際のレスポンスも悪くないです。「 Nothing OS 」であればホーム画面のウィジェットでバッテリー残量を確認できます。円形アイコンのほうは、Ear をケースに戻した際に、接続してあればスマートウォッチ「 Watch Pro 2 」の残量表示に切り替わり、なければ「 Phone(2) 」のバッテリー残量に切り替わります。この辺りは同社製品で揃えた便利さ、美しさであるでしょう。
まとめ
音質以外の面では、ANC の効きが少し弱く感じるとか、片方から音が出ないことがあったり(再接続で復旧)、ちょっと「?」と感じる部分はあるにはあるが、なにせ音質が好みでした。再生機が同社製スマートフォンであることによるホーム画面での調和も、満足度が高まった要素ではありますね。見た目だけで選んでも所有欲は満たされると思います。