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デバイスを探すに対応!Android端末専用の紛失防止タグ「Chipolo ONE Point」レビュー

今回紹介する Chipolo ONE Point は、仮に落とした位置から誰かに持ち去られても、追跡できる“かも”しれません。その辺の実力も含め見ていきたいと思います。

Android のスマートタグ選びについて、こちらの記事でも書いています。

CHIPOLO ONE Point とは

Chipolo ONE Point は Google とのコラボレーションによる Android 端末専用の紛失防止タグです。 Android ユーザーは、Find My Deviceネットワークに参加している数百万台の Android デバイスの助けを借りて、自分の持ち物を見つけることができます。​機能とファッション性で chipolo はあなたの生活を便利にサポートします。
https://www.chipolo.jp/product-page/chipolo-one-point

製品仕様 Chipolo ONE Point

出典:Chipolo

Chipolo ONE Point 製品仕様
  • Google/Find My Device(デバイスを探す) ネットワークでアイテムの発見が可能
  • サイズ:直径37.9mm、厚6.4mm
  • カラー:Almost White(ほぼ白)
  • 音量:120db
  • 防水機能(規格:IPX5)
  • 紛失アラート機能(約60m)
  • OS:Android 9 以上(最新バージョン推奨)
  • Bluetooth:Bluetooth 4.0 以降
  • バッテリー:1年(交換可:CR2032)
  • メーカー保証:1年(保証書付)
  • ※「Find My Device/デバイスを探す」アプリは「電話を探すための呼び出し/共有」に対応してないため、Chipolo ONE POINT/CARD POINT 側から Android 端末を鳴らすことは出来ません。

    競合製品との仕様比較

    現状の主だった Android で使えるスマートタグの製品仕様を表にしてみました。

    Chipolo ONE PointPebblebee ClipTile Pro(2022)moto tagGalaxy SmartTag2
    外観
    大きさ37.9 x 37.9 x 6.4 mm45x 38 x 8.5 mm34 x 59 x 7.7 mm32 x 32 x 8 mm28.8 x 52.44 x 8.0 mm
    重さ8.2 g7.9 g17 g7.5 g13.75 g
    Bluetooth接続範囲60 m150 m120 m100 m120 m
    UWB対応
    防水性IPX5 IPX6IP67IP67IP67
    音声通知可(120db)可(音量不明)可(128db)可(75db)可(音量不明)
    電池寿命1年
    交換(CR2032)
    1年
    (充電式)
    1年
    交換(CR2032)
    1年
    交換(CR2032)
    最大500日
    交換(CR2032)
    対応ネットワークGoogle Find My DeviceGoogle Find My DeviceTile ネットワークGoogle Find My Device無し
    備考充電式バッテリー新型 2024年モデルリリース済日本未発売
    (2024年10月時点)
    Galaxy デバイス専用

    外観/大きさ/重さ

    どれも似たようなサイズ感で大差ありません。ただし注意点として、Pebblebee Clip や Tile Pro(2022)に関して、ホール部分の肉厚を薄くしてあるので、キーリングが通しやすいという配慮があります。Chipolo ONE Point は 6.4mm の厚みを通せるリング等の用意が必要だし、moto tag に至ってはホールも無いので、別途ケース(Apple の AirTag のケースを使用可能)を買わなければなりません。

    Bluetooth接続範囲

    明らかに Chipolo ONE Point はこの中で一番 Bluetooth 接続距離が短いです。最も性能が劣るように見えますが、これに関しては実際に検証しましたので後述します。

    UWB対応

    moto tag と Galaxy SmartTag2 のみ UWB チップを搭載しています。10m という接続可能距離にタグがある場合には、数 cm 単位で位置を指し示すことが可能です。が、2024 年 10 月現時点では限られた Android 端末のみが UWB モジュール機能を使用する設計なので、Galaxy か Pixel ユーザー以外には関係のない項目です。

    ※AndroidでUWB対応モデルは、Google Pixel 6 Pro以降の上位モデル、Galaxy S21以降の上位モデル(そのほかのAndroid端末に関しては情報がなく不明)

    防水性

    Chipolo ONE Point が一番弱いです。とはいえ、防水性能 IPX5 は土砂降りの雨に打たれても大丈夫、瞬間的な水没なら大丈夫です。落っことして路上の片隅で雨に打たれた状態でも問題なさげです。まぁ、どのタグを使うにせよ日常では濡らさない意識はもっておくべきですね。

    音声通知

    どのタグも、スマートフォン側から音を鳴らして、場所の特定補助が可能です。
    例えば Chipolo ONE Point は音量が 120db ということですが…

    さすがに小さなタグが鳴らす音量なので上図とイコールなわけありません。測定アプリで 10cm の距離で計ったところ 55db でした。イメージ的にはスマートフォンの着信音量を中くらいに設定した程度(よりかは大きいかな)と捉えてください。カタログ値どおり Chipolo ONE Point と Tile Pro(2022)の体感音量は同じくらいでした。この音量が実際に有用なのかどうかは後述します。

    電池寿命

    どのタグも 1 年ほどが目安です。おそらくどのタグもスマートフォンから電池残量の目安くらいは見れると思うので、意識して確認するようにしましょう。

    対応ネットワーク

    Android をご使用なら、Google Find My Device ネットワーク対応のタグを選びましょう。
    日本国内において Tile ネットワークはそこまで期待出来ず、今後 Google Find My Device ネットワーク 対応タグが増えてくれば、益々シュリンクしていくと思われます。
    Galaxy をお使いの方は、UWB か Google Find My Device ネットワーク のどちらを重視するかで選べば良いかと思います。または、moto tag の日本での販売が開始されれば、それを検討してください。

    それでは、日本において Google Find My Device(デバイスを探す)対応タグの先陣をきった Chipolo ONE Point を見ていきたいと思います。

    パッケージ

    パッケージは完全に海外仕様となっています。海外版が輸入され、そのまんま素通しで販売されているようです。日本で店頭販売することは前提に無いのかも。日本への割当が少ないのでしょうか、在庫が潤沢とは言えない状況が続いています。

    内容物は Chipolo ONE Point 本体と、取扱説明書(日本語記載なし)と何枚かの紙だけです。キーリングやカラビナの類は同梱されていませんので、別途用意が要りますね。

    飾り気のないシンプルな見た目

    カラーは白色のみ(2024 年 10 月時点)です。今後、他の Chipolo シリーズのようなカラフルなモデルが追加されるのかもしれません。キーリング用のホール径は 5mm で、裏面は無地。これといった説明しようがないくらいシンプルな外観なのです。ちょっとした汚れは拭けば取れそうですが、経年での変色はあるかもしれないですね。

    セットアップ

    Chipolo ONE Point はコンパニオンアプリも存在しない(※)ため、接続方法は『 Fast Pair 』一択です。そもそも『 Fast Pair 』で接続しないと「デバイスを探す」に登録されません。
    スマートフォンのそばで Chipolo ONE Point のロゴを辺りを押すと、すぐにポップアップが表示されます。

    ※Google Play に Chipolo というアプリがありますが、コレは以前から販売されている Bluetooth 接続のみの Chipolo ONE/CARD 用で、Chipolo ONE Point では使用できません。

    昨今スマートタグが犯罪に使用されています。勝手に人の鞄に忍ばせて位置を特定するなど、相手の了承を得ずにタグを悪用しそれが露呈した場合、タグと紐づいた Google アカウント情報が法的要請に基づき開示される可能性がある、といった内容の警告文が表示されます。

    無事「デバイスを探す」に表示されました。
    『 Fast Pair 』接続のみで Google アカウントへの紐づけと、Bluetooth 接続設定もされます。

    Bluetooth 接続登録済み機器一覧に Chipolo ONE Point の名前は表示されません。

    「デバイスを探す」の画面で上図のように『現在近くにあります』と表示されていれば、Bluetooth 接続された状態です。

    Bluetooth 接続距離と位置精度について

    公式の仕様では、Bluetooth 接続範囲 60 mとのことですが、クルマの中にタグを置いた状態で、どこまで接続が維持されるか歩いて離れていって確認したところ、屋外のひらけた場所で約 150m でした。

    また、位置に関して地図上で示す位置と実際の位置のズレは約 100m ほどでした。しばらく同じ場所に留まって位置情報の更新を続けていましたが、補正されませんでした。これに関してはスマートフォン Nothing Phone (2) の GPS の精度(※)から来るものなので、タグの問題ではないと思います。

    ※Bluetooth 接続範囲は環境により 大きく変動することが予想されます。
    ※在宅時に Nothing Phone (2) の Google Map アプリで自身の位置を確認すると、誤差は 5m 程度と高精度です。100mズレていた際はスマホとタグの距離は数cmだったので、単純にその時は GPS の位置情報がズレていたのだと思います。

    従来のスマートタグから抱えている問題なのかもしれませんが、Bluetooth 接続が切れた時点で落としたことを通知されるというのは、どれだけ有用なのでしょうか?
    今回の Chipolo ONE Point は屋外のひらけた場所ではありますが、150m も接続が持続しました。人が沢山居るイベントなどの場でタグから 150m 離れてしまったとすると、持ち去られる可能性が高いと思われます。これが 15m であれば、かなり状況は異なるのが想像出来るでしょう。Bluetooth の信号強度の変化で通知する仕組みにしてほしいものです。まぁ、「デバイスを探す」がフェールセーフとして機能するということなのでしょうけど。

    Bluetooth 切断状態でも音を鳴らせる?

    Bluetooth 接続が切れた状態で「デバイスを探す」のタグを見ると、上図のような表示がされています。推測にはなりますが、タグと同じ紐づけ先である Google アカウントが機能しているデバイスが他にあり、尚且つそのデバイスがネットワーク通信可能な状態であり、且つ、タグとBluetooth 通信できる状況であった場合に、そのデバイス経由でタグから音を鳴らせる…ということのようです。ちょっと想像出来ないような限られたユースケースだとは思いますが、出来ないよりは、出来たほうがよいですね。

    120db という音量について

    実際には近距離で 55db なわけですが…。
    クルマの中に置いたタグから音を出して、ドアを閉じて車外に出て聴こえるのか試してみました。軽自動車の場合で、“微かに” 聴こえる程度です。気密性の高い高級車両では、まったく聴こえないでしょう。

    ショッピングモールなどの騒がしい店内など、まず聴こえないと思われます。よほど周りが静かな環境でないと、音を出してもあまり意味がないかもしれません。
    家の中で探す場合でも、布団の中だと音が吸われて聴こえづらいでしょう。音で探し当てるというのは、このような小さなタグに求めるのは酷なのかもしれないですね。無いより有ったほうがよい機能ではありますが。

    「デバイスを探す」を試してみた

    今回は限られたいくつかの検証しか出来ていません。今後、時間を見つけて追加検証をしていきます。

    • スマホA:家に居る私が「デバイスを探す」で位置を確認するのに使うスマホ。
    • タグ(Chipolo ONE Point ):スマホAと Fast Pair で紐づけられている。
    • スマホB:ファミリーリンクによりスマホAの管理化にある家族用スマホ。

    ※スマホBとタグは、直接的な接続は何も設定していない状態。
    ※スマホBは「デバイスを探す」アプリを未インストール状態。

    タグとスマホBが家から店舗まで移動する道中を、スマホAの「デバイスを探す」で追っていましたが、Bluetooth 接続が切れたあとでも、位置情報が更新されていきました。ファミリーリンクで追っているスマホBの位置情報と、誤差 100m ほどの位置で移動しているのが確認できました。

    この状況から考えて、タグが スマホBと通信して、スマホAで見られる位置情報を更新していることが伺えます。Google Find My Device ネットワークが機能していることがわかりました。

    しかし、店舗から家に戻ってくるあいだも確認していたのですが、スマホBの位置情報が家に近づいてくるあいだ、タグの位置情報は店舗に居る状態のまま更新されませんでした。そして、スマホBが家に到着した瞬間に、タグが私の持っているスマホAと Bluetooth 接続されました。

    この結果からわかったことを記しておきます。

    • 位置精度は100mほど誤差があること(スマホに依存していそう)
    • 更新頻度は10分間隔くらい
    • 場合によっては、更新が滞る
    • Bluetooth が再接続される距離にもムラがある
    • 位置情報に高さの概念は無い

    タグとスマホBは鞄の中で数 cm の距離にありました。今回、他の Android 端末との通信があったか不明ではありますが、道中の道は人気(ひとけ)が無いので、スマホBが位置情報をプッシュしたと考えるのが妥当です。

    また、位置情報には高さの概念がありません。仮にデパートのような建物を何階も移動した際に、どこかの階でタグを落としていても、「デバイスを探す」上ではどの階に落ちているかまでは判別つきません。

    置き忘れ通知について

    Chipolo 公式サイトのスペックに「紛失アラート機能(約60M)」とありますが、まぁったく通知されません。
    そもそも Chipolo ONE Point には前述通りコンパニオンアプリが無いので、どうやって通知してくるのでしょう?
    もし通知してくるとしたら「デバイスを探す」アプリ?「デバイスを探す」アプリの通知は全て ON にしてありましたが、上記色々な検証していても一切通知はされませんでした。それに、Bluetooth が切断されたことを「デバイスを探す」アプリが認識することは可能ですが、それをトリガーに通知してくるとは思えません。それをしたら、タグ同様に「デバイスを探す」に登録してあるワイヤレスイヤホンを使い終わってケースに仕舞うたびに通知が来るハメになります。タグとイヤホンを見分ける?そこまで複雑なことを現状やるとも思えません。

    それと Chipolo 公式に書いてある以下の説明。

    「Find My Device/デバイスを探す」アプリは「電話を探すための呼び出し/共有」に対応してないため、Chipolo ONE POINT/CARD POINT 側から Android 端末を鳴らすことは出来ません。

    これも従来の Bluetooth タグであれば、コンパニオンアプリ経由でスマートフォンの音を鳴らすことが出来るのですが、『 Fast Pair 』の接続だけで完結する Chipolo ONE Point ではそれも出来ないわけです。要するに、コンパニオンアプリを使用しないがために、従来出来ていた事が出来なくなっているというわけです。

    公式に書いてある「紛失アラート機能」とは何なのでしょうか?

    まとめ

    現状、「デバイスを探す」ネットワークが一定の機能していることはわかりました。冒頭に書いた、仮に落としたモノが持ち去られた場合に追跡可能か?の答えは未だわかりません。Android ユーザーが増えてくれないと精度が高まらないのは明白ですけど。

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