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「Nothing Ear (stick)」レビュー

Nothing の独創的なワイヤレスイヤホン「 Ear (stick)」のレビューです。

Ear (stick) は、英 Nothing Technology が2022年にリリースしたワイヤレスイヤホン。初代 Ear (1) とは異なる路線のケースデザインに、インナーイヤー型を採用したイヤホンの組み合わせです。リリースから月日が経っているので、デザイン面の良さは周知のことです。あえて主流ではないインナーイヤー型を採用した、イヤホンの音質が気になったので買ってみました。所有している Nothing Ear との音質比較を交えて語ります。

パッケージと内容物

紙パケを破って空けると出てきたのは筒が 2 つ。イヤホンケース本体と、充電ケーブル/取説。

基本的なスペック

サイズイヤホン:高さ: 29.8 mm x 幅: 18.8 mm x 厚さ: 18.4 mm
ケース:高さ: 87.1 mm x 幅: 29.8 mm x 厚さ: 29.8 mm
重さイヤホン:4.4 g
ケース:46.3 g
防塵・防水性能イヤホン:IP54
ケース:不明
バッテリーイヤホン: 7 時間 (一度の充電で最大 5 時間) 再生可能
充電ケース使用時の合計: 最大 29 時間
高速充電: 10 分の充電で 2 時間再生可能
ワイヤレス充電非対応
コーデックAAC、SBC

メーカーによるアピールポイントは以下になります。

わずか4.4gの羽のような軽さ
快適なフィット感
カスタム 12.6 mm ダイナミックドライバー
Clear Voice Technology
プレスコントロール
最大 29 時間の再生時間

https://jp.nothing.tech/products/ear

外観】Nothing Ear (stick)

stick という名称ですが、円筒状のケースからは「カプセル」といった印象も受けます。直径が 3cm 弱しかないので、ポケット内でも嵩張らず携帯性は高いですね。

ケースの赤色パーツのある側を回すとイヤホンが取り出せるようになります。単純ながらもこの構造は画期的です。一般的なケースよりイヤホン装着に至るまでの動作がスマートだし、ケース自体の小サイズ化も達成されています。

赤色の部分に充電用の Type-C ポートがあります。その横の銀色のボタンがリセット/ペアリングボタンになっています。

初代 Ear (1) から継承しているスケルトンのステムで中身が見えるデザインです。ひと目で Nothing とわかるアイデンティティが確立されてますね。

インナーイヤー型( Nothing 的にはハーフインナーイヤー型と呼称しています )なので当然イヤーチップはありません。白色ってこともあるだろうけど、 Apple の AirPods を想起させますね。

まずはスマホと接続

使用するためにスマートフォンと接続します。Android であれば、スマホの傍で Ear (stick) のケースをイヤホンの取り出せるところまで回転すれば接続準備完了です。

『 Fast Pair 』のポップアップが立ち上がるので、接続ボタン押下で Google アカウントへの紐づけと、Bluetooth のペアリングを行います。

デバイスを探す』対応について

Android との接続でのハナシですが、2024 年 8 月下旬にアプリ『デバイスを探す』が正常に機能するようになりました。最後に Bluetooth が切断された位置情報が記録されるようになります。

ウェブ版の『デバイスを探す』も対応されました。

人目に付かない場所に落としてしまった場合、マップ上でその位置を確認し、実際にその地点近まで行き、Bluetooth 接続された事を確認したら、「 Nothing X 」アプリを起動し「イヤホンを探す」機能で音を鳴らせば見つけられるかもしれません。誰かに持ち去られた場合の追従性については、まだ『デバイスを探す』のネットワークの位置情報共有が未知過ぎるので不明です。機会があれば検証したいですね。

※Ear (stick) のバッテリーが切れたらアウトです。なるはやで落とした事に気付き、なるはやでその場に向かうことが前提です
※私のテストでは、接続機であるPhone (2)との距離が30mほどで切断され、再接続は10m以内に入ってからでした
※Nothing のイヤホンはどれも同じですが、「イヤホンを探す」機能の音(と音量)が微妙過ぎて屋外では気付ける気がしません

イコライザーについて

出典:Nothing

イコライザーは「バランス」「低音を強調」「高音を強調」「音声」からの選択か、「カスタム」を選び「高」「中」「低」音域をそれぞれ強めたり弱めたりする簡易モードがあります。また、「詳細設定」モードでは、上図のように周波数帯域ごとに強弱やQファクターまで調整が行えます。私は簡易モードの「バランス」が好みの音でした。

音質について

もっとガッツリと使いこんだら(聴きこんだら)変わってくるかもだけど、現時点で Ear と比較した印象は以下の通り。

Ear (stick)Ear
高音◯(ほぼ◎)
中音
低音◯(バランス的には◎)
装着感◎(人によっては◯)
ノイズキャンセリング◯(人によっては◎)
機能性◯(ニーズによっては✕)
通話品質未検証

音のバランスについて

高音域に関して、わずかに Ear のほうが解像感高く、リッチな音を鳴らせている(ように感じます)。僅かな差です。

インナーイヤー型の性質上、カナル型と比べて低音の量感不足は感じます。ただ、量感不足と言っても、近年の低域が強い音源を聴いて丁度よいバランスなので、極端に低音ズンズンが好きな人じゃなければ問題ないでしょう。むしろ、オーケストラなどダイナミックレンジの極端に広いものを除けば、音楽をリスニングするには絶妙な良バランスに感じます。

※EQ調整しても、極端に低音ズンズンしたい人のニーズに応えられないという意味で、低音評価をやや下げています。高音~低音までのバランスは自然でまったく問題ありません。

Ear (stick) は、Ear などで使えるベースエンハンス機能(低音増強)が使えません。その代わり「 Bass Lock 」という機能が搭載されています。再生中の低音の減衰をリアルタイム監視し、低音が不足しないようイコライザーカーブを自動で調整するという、なんだか凄い機能です。効果のほどは??ですけどね。

安いイヤホンは最初から低音が強く出るようにして聴いた人に満足感を錯覚させる、というのを思い出しました。Ear (stick) は誤魔化しなく、素直に良いバランスで音楽を楽しめます。

装着感に関して

出典:Nothing

やはりインナーイヤー型のため、常に外れてしまいそうな感覚があります。実際には装着したままウォーキングしても問題なかったですが、慣れないと不安な感覚はあります。

ノイズキャンセリングについて

Ear (stick) のノイズ対策はキャンセリングではなく、リダクション(削減)となっています。ノイズリダクションは専用ファームウェアをインストールすることにより使用可能となります。また、ノイズリダクション機能を使わない場合は元のファームウェアに戻すことも可能となっています。

Ear (stick) のノイズリダクションは ON か OFF のみです。上位機にあるようなノイズキャンセルレベルの概念がありません。(インナーイヤー型なので外音取り込み機能もありません)

肝心のリダクション能力に関してですが、Nothing 自身が明確に◯◯db低減といった表現を伏せていることから推測できるけど、非常に“効きが弱い”です。ノイズキャンセリングを重視される場合は、Ear (stick) は選択肢から外してください。

機能性について

Ear が全機能を開放されているのと比べ、Ear (stick) にはいくつか制限があります。

Ear (stick)Ear
イコライザー
コントロール
ノイズコントロール
ベースエンハンス
インイヤー検出
低レイテンシーモード
高音質オーディオ
パーソナライズされたサウンド
デュアル接続
イヤホンを探す

先に書いたノイズキャンセリング機能の違いのほか、ハイレゾに非対応だったりします。また、イコライザー機能自体は Ear 同様なのですが、イコライザーカーブを調整した際の音の変化が、Ear ほどは明瞭に感じられなかったです。

通話品質について

試したら追記します。

まとめ

上位機種である Ear と比べて劣る部分は明確でした。機能の削減です。

音質に関しては、
Ear :そもそものポテンシャルが高いうえに、自分好みに如何様にも調整可能
Ear (stick) :Nothing が設定したバランスの良い音質そのままで聴け!
という感じの違いですかね。

気に入ったところ

  • 斬新なケースデザイン
  • 個性的なイヤホンデザイン
  • バランスの良い音質

イマイチなところ

  • 低音を増幅できない
  • 貧弱なノイズキャンセル機能
  • ハイレゾ非対応
  • ワイヤレス充電非対応
  • ケースの防塵防滴性能不明(弱そう)

Ear と Ear (stick) 、私は使用感の違うこの 2 機種を愛用していきたいと思います。これから Nothing のイヤホンを選ばれる方は、どうしてもカナル型が嫌だとか、どうしても stick のケースが良いとかでなければ、Ear を選んだほうが後悔しないでしょう。

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